SES営業とは?業界の構造を踏まえて詳しく解説

SES営業4年目の僕が、業界の構造をふまえて、SES営業とは何かをわかりやすく解説!

僕は、新卒で現在の会社に入社後、未経験からSES営業をはじめ、今ではマネージャーとして部下の育成、営業部の戦略設計に携わっています。

この記事では、「SES業界に就職を考えている学生の方」や、「未経験からSES営業に転職を検討している方」向けに、わかりやすく丁寧に解説していきます。

SES営業とは?

SESとは、「System Engineering Service」の略で、アプリケーション開発、インフラ基盤構築、またそれらのシステムを保守・運用するエンジニアの労働力を企業に提供するサービスの総称です。

学生
学生

この説明よく聞くけど、さっぱりイメージがつかないんだよなあ。。

いっしー
いっしー

たしかに僕も最初はそうだったな(笑)

学生
学生

わかりやすく解説してください!

いっしー
いっしー

もちろん!じゃあまずシステムっていうと何を思い浮かべる?

学生
学生

んー、そう言われるとよくわからないけど、スマホアプリとか?

いっしー
いっしー

そうそう!あとは、銀行振り込みの仕組み、ECサイト、身近なところだと、交通系ICもそうだね!

いっしー
いっしー

これらのシステム開発のために必要なエンジニアを提案していくのがSES営業だよ!

学生
学生

なるほど。でも、まだよくわからないな。。

いっしー
いっしー

もう少し詳しく解説するね!

理解を深めてもらうために、SES業界の構造について、説明します。

SES業界の構造

宅配便の再配達システムを例に説明します。

運送会社(ここではわかりやすく、ヤマト運輸とします)の荷物を指定の日時で受け取れない場合に、アプリやLINEなどを使って再配達を依頼したことがある方も多いのではないでしょうか。

このシステムに、荷物が近くの集荷場まで届いたら通知が来る機能を追加するとしましょう。その場合、ヤマト運輸が機能追加のために予算を確保して開発に取り組みます。

ただ、大手のヤマト運輸といえど、全国規模のシステムを1社で作れるほどの技術力や人手はありません。要は、エンジニアが足りないのです。

そんなエンジニア不足を解決するのが、SIerやSES企業です。

SIerとは、簡単にいうと「システム開発やインフラ基盤構築などを請け負う企業」のことです。その中でも、群を抜いた売上を出しているのが大手SIerと呼ばれる、富士通、NEC、NTTデータ、日立製作所などです。

【IT業界の構造①】

上記の図でいうと、エンドがヤマト運輸、元請けがSIer、2次請け(場合によっては3次請け)がSES企業となることが多いです。

補足になりますが、SIerとSES企業の違いは次のとおりです。SIerは、システム開発やサービスを提供して、納品されたシステムや運用保守を担うことに対して報酬が支払われる契約をする企業。SES企業は、システム開発などの技術力を提供し、その業務遂行(労働時間)に対して報酬が支払われる契約をする企業です。

ヤマト運輸の再配達システムの例だと、このような流れで仕事が依頼されていくイメージです。

【エンドと元請けの会話】

ヤマト運輸<br>(エンド)
ヤマト運輸
(エンド)

再配達システムに機能追加したいので、開発お願いします

SIer<br>(元請け)
SIer
(元請け)

お任せください!

【元請けと2次請け会社の会話】

SIer<br>(元請け)
SIer
(元請け)

我々だけでは、人手も技術力も足りないので、一緒に開発してくれる方いませんか?

2次請け会社
2次請け会社

弊社のエンジニアにお任せください!

【2次請け会社と3次請け会社の会話】

2次請け会社
2次請け会社

今回の案件ですが、弊社のエンジニアでも、人手が足りません。

この分野得意な技術者いませんか?

3次請け会社
3次請け会社

いますよ!こちらのエンジニアの得意分野は…

といった形で、システムは開発されています。

このエンドから元請け、元請けから2次請け、2次請けから3次請けに仕事を依頼する流れのことを商いの流れと書いて「商流(しょうりゅう)」といいます。

なので、この業界の構造を理解してもらえれば分かる通り、1つのシステムを作るために、ヤマト運輸(エンド)、大手SIer(元請け)、SES企業(2次請け・3次請け)、など複数の会社が一緒に開発を進めているのです。

【IT業界の構造②】

なので、SES営業は、エンド会社やSIerに対して、弊社には一緒にシステム作れるエンジニアがいますよ!と提案をしていく仕事です。

具体的な業務内容は?

具体的な業務内容は、アポ→打ち合わせ・ヒアリング→提案→受注→受注後のエンジニアフォローです。それぞれ詳しく説明していきます。

アポ

SES企業、IT企業など検索をすれば、SES企業、SIerはたくさん出てきます。その企業にアポをしていくのがSES営業の一番初めに取り掛かる作業です。

方法としては、テレアポ・メールアポが主流です。飛び込み営業などしている企業は、僕の知る限りありません。

何度も何度も断られるテレアポはきついイメージがあると思いますが、SES営業のアポは比較的取りやすいです。なぜなら、顧客もエンジニアが不足していますし、同業のSES企業も仕事やエンジニアを探しているからです。目標を立てて、ガンガン連絡していきましょう。

打ち合わせ・ヒアリング

アポが取れたら、次は打ち合わせです。

大まかな打ち合わせの流れは、双方の会社概要の説明をして、案件やエンジニアの情報共有などが一般的です。2回目以降や契約が増えてくると、参画しているエンジニアの話や参画している案件の顧客事情などの会話もすることになります。

SES営業は、マッチングが受注につながります。なので、案件とエンジニアの情報をたくさん集めることが受注への近道です。案件とはSES業界での仕事・業務内容のことを指します。

顧客の立場をイメージすると分かるかもしれませんが、自社の案件情報やエンジニア情報は、定期的に連絡をしてくれる営業に先に教えたいと思うものです。定期的な情報交換を意識しましょう。

提案

さて、いよいよ提案です。打ち合わせで集めた情報をもとに、マッチできそうな案件にエンジニアを提案します。はじめは技術の知識がないので、何を書いてあるのかさっぱりわからないはずです。まずはキーワードが同じものに提案するくらいで問題ありません。

例えば、金融系アプリケーションの更改案件でJava・Springで設計から基本的に1人で判断しながら携われるエンジニアを募集しているとしましょう。その時に、エンジニアの実務経験を記載したスキルシートをみて、JavaもしくはSpringと記載があれば、提案するということです。

経験を積んで細かい部分まで考慮できるようになると、エンジニアの携わってきた工程が開発・テストだけなので、設計からの対応が難しいという部分や、リーダーのフォローありきで作業していたので1人で判断しながらの作業は難しいなどの判断基準が見えてきます。

受注

顧客への提案後に、顧客、エンジニア双方の合意が取れれば、受注となります。細かい契約条件のすり合わせをしたのちに、見積書を提出して、注文書を締結すれば契約完了です。

すんなりと希望の条件で契約できる場合もありますが、条件交渉をされることも少なくありません。特に多いのは単価の減額交渉です。顧客の要望を聞いているだけでは、顧客との対等な関係は築けませんので、こちらの要望も誠意をもって伝えましょう。

アポから提案までの地道な作業から、単価の交渉などを経て、条件の合意が取れればようやく受注です。今までの過程が実を結ぶ瞬間なので、SES営業にとっては1番達成感がある瞬間です。

受注後のエンジニアフォロー

SES営業は、受注して終わりではありません。

受注後にエンジニアは、顧客とともに業務を行っているわけですから、トラブル・クレーム・本にの不満など、様々な事象が発生してきます。この対応もSES営業の仕事です。

具体的には、業務スケジュールが予定通り進んでおらず、業務過多になっているケースや、エンジニアのスキルが足りず顧客からクレームが入るケースなど様々です。

対応内容は事象によって様々ですが、日ごろから顧客・エンジニア双方とコミュニケーションを取っておくと、比較的スムーズに解決できるでしょう。

必要な能力、スキル

顧客が自社のプロジェクトでエンジニアを探しているときに、真っ先に連絡してくれるのはどんな営業だと思いますか?それは、僕の経験上、コミット力と継続力のある営業です。

コミット力

コミット力とは、明確な答えがない状況でも、現状出せるベストな方法を模索して提案・実行できる力だと思ってください。顧客から信頼される営業マンは、このコミット力が高いです。

答えのある問題であれば、求められた答えを出すだけで正解になります。SES営業であれば、顧客が求める理想のエンジニアを提案するなどです。ただ、理想的なエンジニアがいつも提案できるとは限りませんし、トラブル対応に正解などはありません。

SES営業における優秀な営業マンは、どんな困りごとや問題が発生しても、あらゆる手段を模索して、なんとか良い方向に持っていくことで、顧客からの信頼を獲得していきます。

実行力・継続力

もう1つ、SES営業で、成果を出すために絶対に欠かせないのが実行力・継続力です。

みなさん、質・量・スピードの優先度の話を知っていますか?仕事においては、スピード→量→質の順番で優先度が高いというものです。先ほどのコミット力というのは、いわゆる質の部分です。そして実行力・継続力がスピード・量になります。まずは素早く取り組み、量を増やす、そうすることで質はあとから上がってくるのです。

そんなこと言われなくても理解しているし、誰でもできると思われた方も多いのではないでしょうか。それが驚くことに、ほとんどの人が出来ないのです。

筋トレの話を出すとわかりやすいのですが、体を鍛えたいと思ってはいるが、行動に移せていない人は多いです。もしジムで体を鍛える・ダイエットをすると決めて行動を開始できたとしても、当初はやる気に満ち溢れていたけど、数か月後には辞めてしまったという経験がある方は多いと思います。ジムで筋トレを継続できる割合を調べてみたところ、全体の4%程度だというデータもありました。

営業の活動は突き詰めていくと地味です。アポをして、打ち合わせをして、提案が通れば受注、その繰り返しです。継続が難しいのはわかってもらえたはずなので、この地味な作業を継続するために工夫できるかどうかだと思います。目的意識をはっきりさせる、目標を立てる、ライバルを見つけるなどなど、継続する方法はいくらでもありますので、ぜひ実践・継続してみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、SES営業について初心者でもわかりやすいように解説してみました。職業探しや、業界理解の参考にしてもらえればと思います。

SES営業は、モノを売る営業ではないので、受注後もエンジニアとのコミュニケーションが必要であったり、エンジニアと顧客の板挟みになることもあるなど苦労する部分もあります。その反面、エンジニア自身のキャリアを考えて一緒に成長して行けたり、顧客から感謝されたりなどのやりがいもあります。また、営業の基本を学ぶことはもちろんできますし、自分の仕事がDX化を推し進めているので、世の中を便利にできていると実感できると、とてもやりがいのある仕事になると思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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